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会員紹介

セントル・ザ・ベーカリー

photo4.jpg2013年6月、地下鉄「銀座一丁目駅」から徒歩2分の場所にオープンした「セントル・ザ・ベーカリー」は、食パン専門店です。販売している食パンは、国産小麦のゆめちからを使用した「角食パン」(840円)、北米産小麦の角型「プルマン」(840円)、山型の「イギリスパン」(735円)の3種類のみ。併設されたサンドイッチカフェでは、焼きたての食パンも楽しめます。同店を経営する株式会社ル・スティル代表取締役の西川隆博さんに、国産小麦のこれから、リテールベーカリーの勝機についてうかがいました。

 

国産小麦のおいしさを発信する食パン専門店

 photo2.jpg食パンを購入する人、サンドイッチカフェで朝食を楽しむ人――開店時間の10時ちょうどと同時に、「セントル・ザ・ベーカリー」には次々とお客様が訪れています。決して手軽ではない金額ですが、お客様は途切れることなく、日によっては17時には販売数量が売り切れてしまうこともあるそうです。

 西川さんは、10年前フランス直輸入の小麦粉を使用したフランスパン専門店「ブーランジュリー・パティスリー・ブラッスリー VIRON(ヴィロン)」を東京・渋谷にオープンさせ、次いで丸の内にも出店しました。その10周年となるタイミングで「セントル・ザ・ベーカリー」をオープンさせた理由について、こう話します。

「おいしいパンが作れる国産小麦が誕生したからです。北海道産小麦ゆめちからをブレンドすると、国産小麦でも輸入小麦とそん色なく、きめの細かい、膜の薄いパンが作れる。ならば国産小麦のおいしさを、もっと消費者のみなさんに認識していただきたい。そう考え、あえて『食パン専門店』という新業態で店をオープンさせました。ただ、理由はほかにもあります。それは、リテールベーカリーとして生き残るためです」

 

市場の8割を占める大手に勝つには

 photo3.jpgパンは、私たちにとって毎日のように食べる小麦製品のひとつです。                 食パン、サンドイッチ、菓子パンは、いつでもどこでも気軽に購入でき、食べることができます。しかし、だからこそこのままではいけないと西川さんは警鐘を鳴らします。

「今、パンの市場は1兆5000億円といわれています。その8割を大手20社の大手製パンメーカーが占めており、チェーンベーカリーのシェアも1割程度あると考えられます。最近、こだわりを持ってパンを作っているリテールベーカリーが雑誌などのメディアにいろいろと取り上げられていますが、規模でいったら微々たるものなのです」

近隣に大型スーパーやコンビニエンスストアができると、町のパン屋の売り上げは下がり、閉店に追い込まれる店も少なくありません。そんな窮状も「当然です」と、西川さん。

「商品開発能力が全然違うのです。大手製パンメーカーは、商品化するかどうかは別にしても、月数十から数百種は新商品を開発している。小麦の研究にも取り組んでいる。アイテム数で勝負しようとしたら、到底勝ち目はないのです。もっとアイテムを絞り込んだり、原料にこだわったりして、本当においしいパンを作り、お客様が毎日来たくなる、遠くからでも来たくなるパンを作らなくてはいけないのです」

 

小さなリテールベーカリーこそ国産小麦を

bread2.jpg 苦境にあるリテールベーカリーこそ、国産小麦にこだわるべきだと西川さんは言います。

「そういう意味で、麦わらぼうしの会の活動の意義は大きいでしょう。お互いに情報を共有し、いいものを作っていこうと刺激し合える。今は北海道産の小麦に偏重していますが、目指すべきは地元のベーカリーが、地元産の小麦を使い、地元の製粉会社と一緒に、消費者が『ここへ来たら、あそこのパンを食べよう』と思えるおいしいパンを作ることです」

 西川さんが考える、大手製パンメーカーに決して真似できないリテールベーカリーの強みは、焼き立てのおいしいパンが食べられること。

「麦わらぼうしの会のように、小麦畑を見学し、国産小麦についてもっと勉強するのです。どのような仕掛けができるか、意見を交換するのです。私からすれば、苦境にあるパン屋はもっと努力するべき。今、国産小麦を使ったパンを学校給食に導入する動きも出てきており、私たちも精いっぱい国産小麦のパンはおいしいといった情報発信をしています。もっともっとアンテナを広げ、努力して、消費者を感動させるおいしいパンを作っていきましょう」